ナット幅はどんなギターのスペック表記においても大体書かれている着目される1つの要素かと思います。
演奏性にも関わってくる部分なのでこだわりがある方もいるのではないでしょうか。
皆さんはこだわりありますか?

ちなみに僕はそれほど厳密にはこだわりはありません。
アコースティックギターにおいては広すぎず狭すぎずぐらいがいいというくらいでしょうか。
エレキギターの場合は余計な音を鳴らさないために押弦している弦の隣の弦に指を触れさせてミュートするということが結構必要になってくるためアコースティックより狭めが一般的な幅かと思いますが、アコースティックにおいては逆に隣の弦をミュートしてしまうのを避けるためにやや広くする感じはあります。
例えば、4~6弦をバレーしつつ3弦の開放も鳴らすなんて場合、3弦と4弦が近いと3弦を消音してしまいますのでね。
ですので定番スペックの1つである44.5mm前後であれば大体いいかな、くらいな感覚です。

とは言え、やはり弾きやすい物、弾きにくいかなって感じる物とあったりします。
僕の場合はそこまでその辺シビアではありませんが、厳密に比べるとやはりこちらのほうが弾きやすいとかそういう感覚は出てきます。
特にちょっと押さえづらい場合がある曲などをやる場合は。

ただじゃあ、それが単純にナット幅によるかと言うと、要素ってそれだけじゃないですよね。
ナット幅は同じでも1弦から6弦間の幅が違うなんて場合もありますし、はたまたネックの形状や厚みでも握った感覚も違ってきますからね。
また、握る場合に限らず、ストレッチでの押弦の場合の弾きやすさみたいなものも出てくるじゃないですか。

そんなわけで、今回は自分の手持ちのアコースティックギターの中の44mm、44.5mm、45mmのナット幅のギターをいくつかの着目点でそれぞれ計測して書いていこうと思います。

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44mmのナット幅のギター、弦幅は38mm弱

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44.5mmのナット幅のギター、弦幅は38mm弱

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45mmのナット幅のギター、弦幅は38mm弱

上記3本のうち、2本はナット幅含めオーダーした物なのですが、弦幅は指定していません。
基本的に38mm弱あたりが一般的な数値なのかいずれもほぼ同じ幅でした。

ちなみに12フレットのボディー側での幅は44mm幅ナットの物が55mm、44.5mmと45mmのものが55.5mm、そしてそれぞれその位置での弦幅が44mmと44.5mmのナットの物が47mm、45mmのナットの物が48mm弱という感じ。

また、単純に幅だけを計測していますが、この3本の内、44.5mmの物だけ少しスケールが短いです。
で、ストレッチの場合などを想定して次のように斜めの幅を測ってみました。

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ナットから4フレットまでで計測。(150mmのスケールをそのまま使ったのでストレッチというほどの縦幅じゃありませんが…)

44mmのナット幅の物が137.5mm、44.5mmの物が137mm、45mmの物が138mm弱。
大体そんな感じ。

ややストレッチが必要な押弦の必要な曲の場合、わりと44mmの物が若干弾きやすいかなという感覚があったのですが、意外と数値的には微々たる違いしかありませんでした。
ちなみに弦高は45mmのナット幅の物が他2本に比べると若干高めかなという感じ。
あとは指板のアールなんかも演奏性に関わってくると思いますが、うち2本は同じ製作家の方の物ですし、もう1本も以前アールに合わせてThaliaカポのパッドを決めた時に他2本と同じアールのを装着していたのでほぼ同じアールだと思われます。

普通に弾いている分にはそこまで極端に何かを感じることはないのですが、ちょっと押弦しにくい場合等に違いがあるかなとこれまで思っていましたけど、意外や意外、数値的にはそこまで違いがありませんでした。
まぁ、0.5mmの違いで感覚が違ってくるとも言えなくもないということでしょうかね。

試奏とかしていて、特にスロテッドヘッドの物なんかはナット幅が広めな場合が多いですけど、そこまで違和感を感じる場合って個人的にはないです。
たまにやや広めだなと感じるのもありますが、普通に弾いている分には"弾きづらい"とまで感じる物はほとんどないです。
むしろネック形状がV気味の物とか指板側よりネック側の形状のほうがちょっと違和感を覚えたりするかな。
ただまぁ、幅という点で唯一個人的に大きく違和感感じるのはLarriveeです。
Larriveeのはナット幅は普通に44.5mmなのですが、どうも弦幅が広いらしく、なんかクラシックギター弾いているのに近いような感覚を覚えちゃうんですよね。
普段からLarriveeを弾いているっていうのなら慣れるのだと思いますが(それだと今度は他のに違和感懐くのでしょうが)、たまに試奏とかで触れることがあるってくらいだと何か違和感があります。

ネックの形状などにシビアなギタリストもいますから、当然、ナット幅や弦幅にも一家言ある方って少なくないと思います。
僕もまぁ、この曲の場合はこのギターのほうが扱いやすいというような感覚は若干ながらもあったりしたので、こだわるのであればどんな曲でも扱いやすいギターの数値を出して、カスタムオーダーとかする場合にそれきっかりで作ってもらうというのもいいのだと思いますが、正直そこまで厳密なこだわりは今のところないかな、と。
こういう記事を書いておいて何ですが(笑)

もちろん弾きやすいネックを見つけられるというのも1つの弾きやすさを探究する上での道だと思うし、理想のスペックを見出すことができたならそれが近道となるかなとも思いますし、あとは持ってるギターの数値等のスペックに弾きづらさがそこまでないのであれば、それにとことん慣れるというのも手なのだと思います。
あとちょっと変わった観点でいくとすれば、カポをすることが多い場合なんかはナット付近での幅より広くなってますから、どの辺を使うか、そのポジションでどのくらいの幅が弾きやすいかっていう点に着目するのも一つかもしれませんね。

相も変わらずまとまりのない締めになってしまいますが、ちょっと色々計測したついでに記事にまとめてみました。