アコースティックギター弦について個人的印象を書きとめます。
ギター本体の感想もそうではありますが、個人的印象なので必ずしも皆さんと一致するとは限らないと思うので、それを前提にお読みいただければと。
同じ弦を使用した際の印象が近いなとお感じいただけたなら参考にしていただけるかもと思います。

新しく試した弦だったり、同じ弦でも使い続けることで感じることが増えるもしくは変わることもあるかと思うので、その場合は随時更新予定です。
正直、何度か使ったことあるけど印象がないというのもあるので、そういうのは後々改めて追加、もしくは永劫追加されないかもしれません(笑)

フォスファーブロンズ中心にはなると思いますが、個人的にはあまりブロンズだからこうとかフォスファーブロンズだからこうみたいな決めつけはなくギターとの相性も見つつで試すので(と言うかあまり意識してこなかった……)、弦のジャンルよりモデルで合うか合わないかこれまでも見てきましたから、万遍なくとまではいきませんが、それなりには色々とバリエーションは出せるかな、と。

(2022/10/31 La Bella 7GPS-C Coated追加)

目次
 D'Addario
  ▶PHOSPHOR BRONZE EJ16
  ▶XS PHOSPHOR BRONZE
 ERNIE BALL
  ▶PARADIGM PHOSPHOR BRONZE
 GHS
  ▶S325 PHOSPHOR BRONZE
  ▶S425 AMERICANA SERIES ACOUSTIC
 Martin
  ▶ACOUSTIC SP PHOSPHOR BRONZE(MSP4100)
  ▶MARQUIS PHOSPHOR BRONZE(M2100)
  ▶FLEXIBLE CORE SP PHOSPHOR BRONZE(MFX740)
 SIT Strings
  ▶CRT COATED ACOUSTIC
  ▶Royal Bronze
 gallistrings
  ▶LUCKY STAR PHOSPHOR BRONZE LS20
 acoustic science
  ▶ACOUSTIC PHOSPHOR BRONZE
 DR
  ▶DRAGON SKIN
  ▶RARE ACOUSTIC
  ▶VERITAS 
 SAVAREZ
  ▶A140L Phosphor Bronze
 JOHN PEARSE
  ▶600L
 La Bella
  ▶7GPS-C Coated

donedone

D'Addario


PHOSPHOR BRONZE EJ16
個人的にも基準にしているダダリオの定番フォスファーブロンズ弦。
ギターの特性を吟味したい時に使用するので購入したばかりのギターに張る傾向あり。
特性を掴んでくると徐々にこの弦からは離れていくことも……。
音質的には華美でもなく落ち着き過ぎているということもなく標準的。
表面的に酸化するのは早い印象ですが音質的な弦の持ちは標準的かなというところ。
何かの点で過剰さがあるわけではないため、非常に使いやすい。
ワウンド弦の音が凄く細かくバイブレーションしている感じを受けるのがちょっと特徴かもしれません。


XS PHOSPOR BRONZE
ダダリオとしては満を持してのコーティング弦という位置付けのようです。
これまでもコーティング弦は出していましたが、より完成度の高いコーティングを成したということで。
ワウンド弦はもちろん、プレーン弦にもしっかりと薄いながらコーティングがされているというモデル。
対抗馬は主にElixirになるかなと思いますが、使用感はElixirに近い印象です。と言っても実は個人的にアコギにElixir使ってたのってギター始めてまだ間もない頃で、最近は全然使ってないので記憶に残る印象に比べてという感じになってしまいますが。あとElixirの出だしの頃だったので最近のようにバリエーションがなく、知ってるのは最初のモデルのみです。
Elixirって結構、安いギターでもElixir張ればそれなりの音に聞こえるくらい弦の特色が前に出てくるので、いいギターを所有するようになってからは張ることなくなったんですよね。
で、Elixirって人によって好き嫌いがあると思います。特に使用感の面で。
このXSは触った感じは正にコーティング弦って感じでElixirが嫌いな人は同様に嫌いかもしれないです。
音はElixirよりブライトと言うか鉄弦感がはっきりしている印象(古い記憶との比較です)。
ただ、ノンコーティングの弦とはまた違った質のブライト感ですね。
艶やかな音質でもありますし、コーティング弦的な色気みたいなものはありますが、柔らかすぎない音と言うか。極めて抽象的な表現になりますが、サラッとした感じです。深みはあまり出ません。
使用感の上でのコーティング弦感が強い弦に抵抗がなければ音質的には好む方はそれなりにいるんじゃないかなという気がしますし、演奏法もそんなに問わず使える気がします。
ただまぁ、コーティング弦の中でも値段が高い部類に入るのでそれをどう捉えるかという要素もあるかもしれません。
弦の持ちはしっかりとコーティングされているので優秀です。
個人的にはもう少し深みを活かせる音であるといいんですが、酸化しづらいのはやはり魅力。梅雨時期とか湿度が高い時期に使ってもいいかなと感じました。
ただやはり触った感じのコーティング弦感が強いので、演奏上の感覚は普段からElixirを使っていたとかじゃないと違和感が結構ありますね。滑ると言うか。

ERNIE BALL

PARADIGM PHOSPHOR BRONZE
トリートメント弦とのことですが薄いコーティング弦のよう。
これまでのコーティング弦ほどではないかもしれませんがそれなりに長持ちする印象。最近のお気に入り。
音の劣化より先に表面の酸化のほうが気になるようになるかもしれない。長く使いたい人の観点としては音を取るか表面の変化を気にするか、みたいなところがあると思いますが、そういう点で人によって評価の違いは生じてくるかもしれません。
最初11-52の弦を使用して過剰に華美ではないものの比較的煌びやかな音質に感じてそれなりに好印象だったため12-54を試すと、高音の程よくリッチな感じはありつつ中低音に太さが加わることで全体的にバランスよく感じられました。
特に音に深みがあるギターのその深みを殺さず活かせる弦として重宝しています。
フィンガースタイルであることを主眼に置いたなら個人的オススメはこれ
比較的高い値段の弦ですが、音の持続性を考えると、安めの弦を3回張り替える以上の価値はあると個人的には思います。
ただ、Gibsonのようなギターには悪いとは言わないけどそこまでマッチしてるとは言えないかも。



Earthwood PHOSPHOR BRONZE
張ったばかりの時の感覚は前述の同じくアーニーボールのPARADIGMに似た傾向。 耳につくギラギラ感もなく、張った直後から好印象。 他メーカーに比べると柔らかい音色といった感じか。 張ったばかりの時のメタリックな感じが嫌いな方には同様に好印象になるでしょう。 PARADIGMと比べるとワウンド弦にやや音の色味という点で欠ける感じがしなくもないというところ。 プレーン弦は直線的な鳴りですが上品さも持ち合わせた高音。 テンション感も他メーカーに比べると低いのかなという感じで、押さえやすさはあるかと思います。 張った直後から耳に突くギラギラ感はない反面、ワウンド弦、特に5弦6弦あたりの音が大人しくなってくるのが早い気もします。 もしかするとロット等でまた感じが違ったりなんてこともあったりするかもしれませんが。

GHS



S325 PHOSPHOR BRONZE
個人的に音質は好印象な弦。
アーニーボールのPARADIGMを試す前はメインで使用。
ハッキリした音質だが過度に煌びやかなわけではなく個人的にはちょうど良いと感じる塩梅。
ヨーロピアン系のスプルースに合っているのかもしれない。
弦の持ちは平均的か?というところ。
高頻度で弾いていると平均的な持ちだけど、あまり弾いていないでしばらく振りに弾くみたいな使い方のギターだとそれほど劣化した印象は懐かないかもしれない。
過去に岸部眞明さんが使用していた弦。Doyle DyksシグネチャーもあるGHSですが、あれは弦のゲージの組み合わせをDykes用にした物で物自体はこれと同じだったはず。

Martin


ACOUSTIC SP PHOSPHOR BRONZE(MSP4100)
音の観点では過不足なく非常に良い落としどころのように感じる弦。
張った直後が特に高音の煌めき具合から低音までのバランスが特にいい印象。
しかし長時間弾いていると劣化していくのが感じられ持ちは今一つな印象。


MARQUIS PHOSPHOR BRONZE(M2100)
ボールエンド側が巻かれて保護されている弦。
落ち着いた音質の印象。
ストローク等では高音の煌びやかさに欠ける印象を懐くかも。
ウッディーな音質を好む方の中にはこれを好む方はいそう。
持ちはまあまあ。
しいて選ぶならメーカーメイドのギターより高音が煌びやかな傾向のあるルシアーメイドのギターとかのほうが合いそうに思いました。
FLEXIBLE CORE SP PHOSPHOR BRONZE(MFX740)
バランスや音質含め好印象。
音が前に飛ぶ印象を受けました。
嫌味がなくそれぞれの音域がしっかり主張してくれる感じ。
個人的にはMatinギターにはこれがいいかなという印象を持っています。
持ちについてはあまり印象がないため、悪くはないのかなという感じでしょうか。

SIT



CRT COATED ACOUSTIC
個人的にお気に入りのEarnie BallのPARADIGM Phospherに極めて似た印象。
PARADIGM同様ギターの音の深みを活かせる弦。
PARADIGMと比べると若干暴れる感じがあるかも?という印象はありますが、極めて微々たる違い。
艶やかさ、深み共に納得のレベル。


SIT Royal Bronze
落ち着いた音色の印象。音はやや太いと言えるかも。
鳴り自体は快活な感じもあるが高音域のギラつきがないため、フラットピッキングにはあまり向かないかもという印象。
ソロギター等をプレイする方の中には好む人もいそう。
高音域と低音域の、場合によっては耳にキツイ部分がカットされたような感じで、傾向としては中音に寄っている感じ。
それゆえに大人しいというわけではないのだけど落ち着いた印象を受ける。
個人的には最初、単音が太く出るギターに張ったため、あまり特徴のない弦のようにすら感じてしまったのですが、例えばCollingsとかLowdenのような硬質な音の物、日本のルシアー物でわりと見られる高音キラキラ系のギターにはそのギターの元からの特性と相まって煌めきに太さを加味できてマッチする場合もある感じ。
ご自身の好みや所有のギターとの相性次第で評価が変わりそうな弦。
公式HPにラインナップとして載ってはいるけど詳細がなく、製造上の特徴等は不明ですが打田十紀夫さんの使用弦のよう。

gallistrings


LUCKY STAR PHOSPHOR BRONZE LS20
個人的に以前はGHSのフォスファーブロンズに次いで比較的好んで使っていた弦。
音の主張がしっかりしていてどんなギターにも合いやすい印象。
張ってしばらくはややメタリックな音質の傾向か。
一方で癖が強い弦というわけではないですがギターによる差がやや狭まるような印象も。
プレイスタイルもそれほど問わないと思いますが敢えて言うならストローク中心のほうが合うかも。
持ちは平均よりはいいかなという感じ。
値段も安いほうなので、それでこの性能ということでハードユースにも良いのでは?

acoustic science

ACOUSTIC PHOSPHOR BRONZE
アーニーボールのPARADIGMのようにトリートメント弦を謳った弦。
PARADIGMと比較すると、似てはいますが、こちらのほうがややブライトで金属的な音質。
PARADIGMが落ち着き過ぎていると感じる方はこちらのほうが好みかもしれません。
ギラギラし過ぎているわけではないので、音質的には好まれやすいポイントを突いているかも。
持ちもなかなかですが、若干プレーン弦が劣化してきやすいか。
個人的に試したことのある弦の中では最も高価。
値段も考慮に入れてしまうと特別感は若干薄まってしまう感覚はあるかも。


80/20 BLONZE
フォスファーのモデルに比べると落ち着いた音色。
フォスファーのほうは若干ではありますが暴れる感覚があったので、むしろこのブロンズの音色はいい塩梅。
特にフィンガースタイルにおいてはブロンズのほうがマッチしているのかなという感覚を個人的には覚えます。
弦のスティール弦感を出すよりウッディーな音色を奏でたい方向けという感じ。
もしくはやや硬質な音のギターに柔らかさをほんのり加えたいというような時などに。
持ちに不満を感じないブロンズ弦という感じ。


DR


DRAGON SKIN
DRのコーティング弦。
2パックセットになっていて、他のメーカーのコーティング弦の1パックの価格よりやや安いくらいの価格なため非常にお得感が強い商品。
音質も張ってジャランと鳴らした時の印象は結構好印象でした。
過度にギラギラせず深みも出る感じ。
とは言え、単音弾きで吟味すると、例えば個人的お気に入りのアーニーボールのPRADIGMと比較としてみるならば、高音域の艶感にやや劣り、低音域もやや濁ると言うか、少しボソボソした音に感じるという感じ。
和音ではあまりそういった点を感じませんが、単音だとやや満足感に欠けるかというような印象。
しかし、1パックあたりの価格がコーティング弦としては非常にお得、尚且つ非常に持ちがいいので(コーティング弦の中でもいい部類だと思います)、値段との兼ね合いでどう見るかですね。
練習ではこれをメインに使ってみたいな使い方もありのような気がします。


RARE ACOUSTIC
ノンコーティング弦の中では張りたての段階で非常に好印象。
特徴と言う特徴はないが音の全要素が高得点という感じ。
深みや押し出し感があり、高音もリッチ。
メタリックよりウッディーな音色を好む方や、高音のメタリックな感じが強いギターに合わせて、ややしっとりした方向へもっていきたい人などに特に向いていると思います。
個人的にはDRAGON SKINよりこちらの音のほうが満足感があります。
ただし持ちは平均的かやや劣る感じ。頻繁に弦交換する方向けと言えるかも。
DRはどうもワウンド弦がすぐボソボソとした音になってしまうモデルが多い気がします。



VERITAS

DRの弦は全般的に張りたての段階で好印象なのですが、ちょっと時間が経つと特にワウンド弦がボソボソとした音質になってくるところがあり、先述のDRAGON SKIN、RARE ACOUSTICともに「今後も使ってもいいかも」と当初は思うものの、結局乗り換えには至りませんでした。
しかし、このVERITASはいいです。
他のDR弦も当初の音質自体は好印象でしたが、このVERITASはワウンド弦の音の劣化も顕著に表れたりはないので1つのマイフェイバリットになりそう。
芯材がコーティングされた弦とのこと(日本のサイトにはアンコーティング弦と書いてありますが本国のサイトにはコーティドとなっています)。
音質は艶やかでリッチ。深みも申し分なく出ます。
共感を得られるかわからない表現ですが、"みずみずしい"感じを受けます。
どの音域も過不足なく、和音で混ざり合う感じも非常に耳に心地良いリッチさ。
極めてフィンガーピッカー向けと言えるかなと思います。
ちなみにプレーン弦は2種類入っており、銀色のノーマルの弦は高音域がメタリック過ぎず艶やかかつ優しい音色、金色のXENON POWER-PLAIN STRINGSは高音域が立つ音で高音の押し出し感が強い感じになっています。ですのでXENON POWER-PLAIN STRINGSのほうはタッピングを多用するようなスタイルにも合うかもしれないですね。
この辺はギターの特色との兼ね合いや好みで使い分けるといいと思います。

SAVAREZ


A140L Phosphore Bronze
クラシックギター弦が主流だったサバレスの開発した鉄弦アコースティックギター用弦。
張ってすぐから比較的落ち着いた音色で、何となくそれこそクラシックギター的なニュアンスも感じるような弦。
あまり金属感の強い音は嫌いって人は好むかも。
使っていて早々に弦の表面に滑り止めでも塗ったかのように抵抗を感じるように。
音の持ちは悪くない感じがしますが、元からあまり派手な音色ではないためプレイスタイルとかにもよるでしょうが好みは大きく分かれそう。

JOHN PEARSE


600L
JOHN PEARSEのフォスファーブロンズのライトゲージ。
シッカリ感のある音質ですが過度にギラギラした感じでも硬質なわけでもなくすごく万人受けする音質の弦だと思いますし、奏法も問わない気がします。
ギターとの相性もあると思うので1度は張って試してみることをオススメしてみたい弦。
とは言え、持ちは平均的かなというところ。それでいて安くはない。
お得感や気軽さみたいなものはあまりないですが、ギターとの相性によってはこれが1番に感じる方もいそうだなと感じる弦の1つ。
この600Lに限らずJOHN PEARSEはバリエーションが豊富なので選択肢も多く、ゲージの太さの組み合わせに一家言ある方にとっても重宝するブランドなのではないでしょうか。

La Bella

7GPS-C Coated
好印象な弦の1つ。個人的好みとしてはPARADIGMと双璧。
PARADIGMと比較するとこちらはより明瞭。特に高音の抜ける感じは秀でている。
キンキンした耳に突く高音ではなく艶やかかつ綺麗に伸びるという感じでしょうか。
PARADIGMも11-のゲージだと高音特性が強かったりするので、その辺はテンション等の好みでって感じ。
個人的に常用するPARADIGMの12-のゲージとだと高音や明瞭さは前述の通りこちらのほうが勝る感じ。
音の深みや太さを選ぶならPARADIGM、より明瞭な音質を選ぶならこの7GPSといった印象。
ただガッチリした音であったり硬めな音のギターだとその特色が強まり過ぎるきらいはあるかもしれません。
弦の持ちも比較的優秀だと思います。しっかり表面がコーティングされてるタイプのElixierやダダリオのXSには及ばないまでも表面の酸化もあまり気にならないですし、音は1ヵ月とか使い続けていると張った当初よりは若干淡白になったかな?という感じになりますが、使えなくはないですし、何なら気にならない人は気にならないかも。


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