ギターの保管について語られる際、切っても切れない要素が『湿度』
特にアコースティックギターの場合はシビアに目を向けておいたほうがいい要素と言えるでしょう。

一般的に湿度50%前後が適正と語られると思います。
湿度が高いとネックやトップが動いたり、乾燥でも動くわけですが、今度は割れなどを気にしなくてはならなくなったり。
個人的には保管の際にはケースに湿度調整剤を入れていますが、それについては以前記事にしていますので、そちらをご覧いただくとして、今回は湿度と出音の話。



湿度の違いによって音の変化を感じたことっておありでしょうか?

これは個体によって感じやすい物とそうでない物があると思うので、所有楽器にもよると思うのですが、個人的には「湿度の影響で印象が違ったのでは?」という経験は何度かあります。
特に弦を吟味しまくるきっかけになったのもそれ。
「あれ?このギター、もっと音に深みがあったよなぁ?」という引っ掛かりから、最初は湿度に思考が向かわず、弦の探究に向きました。

最近流行りのトリファイド等の人工的な乾燥処理をなされた材を使ったギターというのは処理の程度にもよりはするでしょうけど、基本的にはカラッとした方向の音で、多湿な中においても変化はほぼ感じられないと思います。
また、日本のルシアーメイドの物の中にはボディー内部にもシェラックでの塗装がなされている物があったりしますが、そういうのも比較的安定しているような印象はあります。トップの裏までは塗装されていなかったとは思いますが。
あと、トリファイド等の処理がされているわけではなくともカラッとした音像の物はそもそもそこまで変化しない印象です。自然に乾ききったヴィンテージもそう。
そもそも"鳴るか鳴らないか"に重きを置かれているのはそういう傾向かもしれません。

では湿度によって音が変わるギターはどういった物か。
どちらかと言うと深みがある音の物とかしっとりとした傾向の個体は影響を受ける場合があると思います。
特に乾燥した状態の日が続くと、先にも書いたように深みが失われる感じ。
まぁ乾いた音になってしまうんですね。
アコースティックギターは乾いた音(枯れた音)を良しとする面もありますので、そういうのを好む方ももちろんおられると思いますが、音に深みを求めていて、そういうのを良しとしている場合、湿度が低い日の乾いた感じの音は、表情がなくなってしまったような感覚を受けてしまいます。

以前、Martinを購入した際にも書いていますが、購入に至るまで複数回試奏しています。
最初は何か惜しい感じがあったのが、その数週間後に再び試奏するとその時より好印象で購入に至りました。
アコギコーナーは分かれた部屋になっており、一応は湿度管理にも目を向けているショップだと思うところでしたが、それでも印象は違った。
その時は数週間の違いでしたし、その日の湿度にまでは着目していませんでしたから、数週経て何かしら個体の状態が安定したのかな?とか思っていました。

今や実感としてあるのは所有するClaxtonを弾いている時。
多湿な時はそこまで変化を感じませんが、乾燥した日が続いたりと特に冬の期間は音が少しカラッとした方向に振ってしまって満足度が低いのです。
「もっと艶とか深みが出るギターなのに!」と(笑)
まぁ、最初そういった変化を感じ、まず弦に目を向けた際に出会ったダダリオのPARADIGMフォスファーを張ることで、いくらか深みの維持はできるようになりましたが、やはり今でも乾燥した期間だとちょっと満足感を落ちます。

アメリカで弾いたほうが音がいい等の話を聞いたことがあります。
あと、海外にルーツのある作家の方が「日本だと音がこもって聞こえる」と話していたのも。
音の伝達の要素もありますが、湿度の上下動の影響は結構あると思うんですよね。特にアコースティック楽器において。
製造においては比較的湿度が低めで安定している気候の土地が好まれる傾向がありますが(乾燥し過ぎの場所はダメなのでしょうが)、個人的には湿度55~60%辺りの日の音が好きですね。