エレキなんかは自分の場合、"こういう部分がこのように優れているから買う"と言うよりは試奏して"ピンと来たから買う"ということが多かったりしますが、今回は初めて何か"ピンと来たから買った"アコースティックギター。

持ってるギターの好みからしてそんなに一般的なGibsonアコースティックを好んでもなさそうなのに何で最近Gibsonのをいくつも試奏してるんだろう?と不思議に思われた方ももしかするといるかもしれません。
いや、まぁ、小ぶりで気軽に爪弾けて、それでいて音を楽しめるギターが何となく欲しいなぁというような気持ちがあったりして、見た目の好みとかからするとGibsonのLGとかかなぁなんて思って試奏をしていたりなんかしてはいましたが、まさか購入に至るとは(笑)
自分でも予想外。

サーマリーエイジドがされたJ-50とかも軽やかな鳴りで好印象でしたが、やはり個人的好みとしてはマホガニーのギターって、その瞬間好めても「3日弾き込んだら飽きそう」って正直感じてしまう物が多いんです(あくまでも個人的嗜好の傾向です)。
もちろんバリエーションとして持つというのもアリだとは思うし、中には結構好印象のマホガニーのギターというのもこれまでありました。
積極的に何本も購入する体制であるならイケるんだと思いますが、さすがにそういうご身分でもありませんし、購入となると本当に気に入った物のみに限られます。
となると自分の好みでいくならばやっぱりローズウッドの方向になるのかな、と。

とは言え別にローズウッドの物ということで探していたと言うよりは、たまたま弾いたら好印象だったというのが今回の始まり。
そもそも小型のGibsonはLGばかり弾いていたしL-00とかこれまでそもそも弾いたこともありませんでした。
そんなL-00をなぜ急に試したかと言うと、珍しくこの個体は12フレット接続だったため。
それといわゆるギブソンスケールより少し長い25インチスケールだったこともあります。
エレキでPRSのスケールが25インチなんですが、そのスケールが結構好きなのでね。

GibsonのギターってやっぱりGibsonらしさと言うか癖があると思うんですが、個人的にはそれが嫌いではないし、バリエーションとして持ちたくはあるものの(Songwriter Deluxeは既に持っていましたが、あれはわりと正統派なので癖はないです)、「たまらん!欲しい!」とまでなったラウンドショルダーはこれまでなく、低音のもたつきみたいなものが気になるケースがわりとあったり。
とは言え、ヴィンテージに行くのも何となく自分的には違うかなというのがありまして。

そんな中、たまたま弾いたこのL-00。
音の感じはGibsonなんです。
何ならローズウッドなんだけどマホガニーみたいな雰囲気の音を発するんです。
とは言え伸びやかなサスティーンがある。
Gibson的無骨な音なんだけど、どこか品も感じるような。
また特にレスポンスの良さがルシアーメイドのギターみたいだったんですよね。

「おお、これは面白いな!」と好印象。
とは言え、決して安くはない買い物です。衝動買いはさすがにできません。
それに調べると同モデルが別のお店にもあるようなので、そちらのお店にも向かい、そちらの個体も試すことに。
その日は結局買わなかったのですが、しばらく引っ掛かっていて、僕はL-00の経験値が低いこともあったので他のL-00(普通の14フレット接続のモデル)等もその後試したりもしました。
ですが、他の個体はそれほど自分の胸には響かなかったんですよね。
確かに同じタイプではあるんだけど、なんかピンとこないな、と。
ちなみに全くの同モデルで別のお店にあった物も好印象ではあったんですが、「あれ?こんなんだっけ?」みたいな感覚が。
いいんだけど、欲しいかどうかというと微妙なところかなというような。
弾く環境の影響か、それとも最初に弾いた個体は最初に弾いたからインパクトがあっただけなのか。

勢いだけでいってしまってはあれなので、間をあけてまた試奏すること。
しかしその1週間後、改めて好印象なら購入することも視野に訪問すると、詳しくは訊きませんでしたが購入検討されてる方がいるようでHoldに……。
僕が購入に前向きになりかけるとこういうこと結構あります(笑)
そうなってしまったので、再度別の店の同モデルを一応改めて試しに。
しかしそちらの印象は前回と変わらずでやはりHoldになった個体も初めて触ったからたまたま良く感じたのかも?とその日は帰宅。

その後はとりあえずネットで在庫状況も眺めたりと後ろ髪引かれる思い(笑)
お店によっては売れた後数日はサイトのほう更新してない場合もありますが、それにしてもなかなか売り切れ表示に変更されません。
「これはもしや売れなかったのか?」
理由はわかりませんが売れていなかったのなら改めて試したいと思い翌週お店を訪問。
ネット上の在庫状況は間違っていなかったようで、まだ売れずに残っておりました。

ちなみに別店舗の同モデルをこの前にももう1度弾いていたりします。
やはりそちらは以前と同じように"いいんだけど、購入までしたいかと言うと微妙なところ"といった印象。
だから1番最初に触ったこの個体も改めて触ったら「あれ?やっぱりそれほどでもないか」と思うのかなとちょっと思ったりしていました。
まぁ、惹かれないなら惹かれないで余計な出費にならなくて済むし、改めて弾いて気に入らなければ後ろ髪引かれることはなくなるでしょう。
そんな再試奏。

なんかね、やっぱり良かったんですよね(笑)
Gibsonは"面白いな"と思う個体は時々あるんですが、欲しいとまで感じたのはラウンドショルダーではこの個体が初めてでした。
もちろん僕の嗜好からするとメインとなるギターでは正直ありません。
ですが、バリエーションとして面白いと感じるのと、ルシアーメイドのギターに比べてもタッチへの反応は比肩すると言っていいレベルで、これはなかなかGibsonでも珍しいように思います。
まして個人的にはヨーロピアン系のスプルースを好みますが、この個体はシトカ。
シトカはどこかまっすぐ過ぎると言うか、指弾きで歌わせるにはちょっと深みや味に欠けると言うのが正直なところの個人的印象。
ですがこの個体に関して言えば、深みはないんだけども、なぜかジャーマンスプルースのギターでも触っているような感覚に近いものがあって好ましかったんですね。

鳴り感はコンパクトなラウンドショルダーということもあって重たい鳴りではないのですが、レスポンスよく軽やかで溌剌と鳴ります。
ガツンと弾けば結構音量も出る。
掻き鳴らすとまごうことなきGibsonです。
爪弾いてもワウンド弦の感じなんかはGibsonって感じはあります。
でも軽やかさゆえかなかなかにフィンガースタイルでも使えるギターという感じなんですね。
それにGibsonにしては珍しいナット幅で44.5mmあるのもいい。

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というわけで、コンパクトで気軽に爪弾けるギターとして結構気に入っておりますこちら、Gibson L-00 12Fret Rosewood。
先述の通りトップはシトカスプルース、サイド&バックはインディアンローズウッド。
12フレット接続で25インチスケール。
フレットもGibsonの他のラウンドショルダーのモデルより細めのフレットを使っていると思います。
その点も演奏性の上でGood。
レギュラーモデルのL-00とそんなに値段も変わらないのですが、ロゴやポジションマークがMOPだったり、バックのセンターストライプが木組みで手が込んでいたり、オープンバックペグだったりと何だか雰囲気も個人的には好みです。

12フレット接続なのでちょっとカポを付けると窮屈感あったり、今まで大して気になっていなかったポジションが押さえづらいor押さえられないとかでプレイ上の制約もあるので曲を極めて選ぶギターではありますが、何となく欲していた気軽に弾けるコンパクトなギターとしては最高の落としどころを見つけたな、と。
もちろん、本気で求めたなら、こういうサイズのギターを作っているルシアーさんにお願いするってこともできますが、やはりそうなると値も張りますからね。
それだと何となく気軽にっていうのとはまた違う気合の入った物になって、こちらの気持ち的に扱いも変わってくるでしょうし(笑)

鳴りの感じはWaterlooのWL-14のXブレイスのは比較的近い方向かもしれません。
ただあちらはやはりマホガニーとかメイプルなんですよね。
サスティーンの点でこのギターに明らかに分がある。
このギターもたぶん、目隠しした状態で知らない人に弾かせたらマホガニーのギターだと思う人多いと思います。
音像は本当にマホガニーっぽい。
でも後半からの伸びだけはやはりローズウッドだからなのだろうなという感じがあります。

マホガニーのアコースティックギターはたぶん今後も所有することはないんじゃないかなと思っているんですが、どこか音の感覚がマホガニーっぽいバリエーションでありつつ、好める、そして弾いていて飽きない個体としてこれを手にできたのは良かったと思っています。
あと個人的にはあまりそういう演奏はしませんが、カントリー等アメリカ音楽的な演奏に向いたギターは持っていなかったので、そういうのにも回せるバリエーションとしてもいけるな、と。

余談ではありますが、色々とGibsonのスモール系のギターを集中的に触ったわけなんですが、不思議と長方形のいわゆるレクタンギュラーブリッジと呼ばれるタイプのブリッジの個体に好印象の物が多かったような感覚があります。
たまたまかもしれませんが、トップを抑えつける面積が狭いということで秀でている可能性はあるかも?

このギターはアンダーサドルピエゾが入っていたりするので、ゆくゆくはそれを除いてサドルを換えたり等も考えています。
ナットやサドル、そしてブリッジピンの材質にはちょっと値段抑え目モデルっぽい感じが表れているのでね(笑)
まぁ今の音自体気に入っているので変に弄っちゃってもどうなんだろうという葛藤もなくはないですけど。